肝臓を悪くする生活習慣はアルコールだけじゃない。非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)とは?|草津栗東みらい内科クリニック|栗東市小柿の内科、呼吸器内科

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肝臓を悪くする生活習慣はアルコールだけじゃない。非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)とは?|草津栗東みらい内科クリニック|栗東市小柿の内科、呼吸器内科

肝臓を悪くする生活習慣はアルコールだけじゃない。非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)とは?

「アルコールは肝臓に悪い」ということはよく知られています。日常的にアルコールをよく摂取する人は脂肪肝になりやすく、過剰なアルコール摂取がつづくとアルコール性肝炎からやがて肝硬変へと進行していくことがあります。

ところが、脂肪肝になる原因はアルコールだけではなく、過剰なカロリー摂取が脂肪肝の原因となり、これを「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」といいます。最近、日本では肥満の増加とともにNAFLDは増えていくと懸念されています。

進行する肝障害、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)とは?

NAFLDの80〜90%は脂肪肝のまま、病気は進行しませんが、10〜20%の人は病気が徐々に進行していきます。そして、その状態がさらに続くと、肝硬変へと進行したり、肝臓がんを発症することがあります。このように進行する肝障害を、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と言います。

そのためNAFLDと診断された方は、生活習慣を改善するとともに、肝臓の状態が悪化していないか、定期的な検査(超音波検査や血液検査)を受けて、経過をみていく必要があります。

NAFLDの原因は?

アルコールの過剰摂取により脂肪肝になることがありますが、NAFLDはアルコールとは関係なく肝臓に脂肪が蓄積しています。その原因には以下のようなものがあります。

食生活の問題や運動不足

カロリーや脂肪を過剰に摂取することは体重増加や肥満につながり、NAFLDのリスクを増加させます。また運動不足もNAFLDを発症する要因の一つです。

肥満・メタボリックシンドローム

NAFLDの主な危険因子は、肥満です。特に腹部周りの大きさ(腹囲)が大きいとメタボリックシンドローム(肥満や腹囲の増大に加えて、高血圧や高血糖、脂質代謝異常を発症した状態)とともに、NAFLDを発症しやすくなると考えられています。

インスリン抵抗性

インスリン抵抗性が高い(インスリンに反応して、血糖を体の細胞に取り込む能力が低い) と高血糖になりやすくなります。高血糖の状態が続くと肝臓での脂肪生成が促進されやすくなり、脂肪肝を発症する可能性が高くなります。

遺伝的要因

NAFLDの発症には生活習慣だけではなく、遺伝的な要因も関わっていると考えられています。肥満でなくてもNAFLDになる人は実はめずらしくありません。

NAFLDと2型糖尿病の関係

食事から過剰に摂取された脂肪が肝臓に貯まっていったり、過剰に摂取された糖分が中性脂肪に変換され、肝臓に蓄積していくと脂肪肝となります。脂肪肝があると、インスリン抵抗が高い状態(血糖値を下げるホルモン、インスリンが作用しにくい状態)になりやすく、2型糖尿病を発症するリスクが高くなります。

逆に、2型糖尿病のため血糖値が高い状態が続くと、肝臓でより多くの脂肪が生成されやすく、NAFLDを発症しやすくなります。このように、NAFLDと2型糖尿病は密接な関係にあります。NAFLDがあると2型糖尿病を発症するリスクが高くなり、また逆に糖尿病があるとNAFLDを発症するリスクも高くなります。

重要なことは、NAFLDは、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と呼ばれるより深刻な形態に進展することがあり、肝硬変や肝臓がんなどの問題を引き起こす可能性があることです。そのため、糖尿病患者ではNAFLDを発症していないかどうか、定期的に検査をすることが勧められています。

NAFLDとメタボリックシンドロームの関係

メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積とともに、高血圧症や脂質代謝異常、高血糖などが起きる状態の事を言います。脂肪や糖分を摂りすぎると使いきれないエネルギーは中性脂肪に変換されますが、これが内臓脂肪や肝臓内の脂肪として蓄積されます。

このため、メタボリックシンドロームとNAFLDは同時に起こりやすいと言えます。健診などでメタボリックシンドロームと指摘された方は、肝臓も一度チェックしてみることをおすすめします。

NAFLDを改善させる生活習慣は?

NAFLDの原因は主に、食べ過ぎや運動不足などの生活習慣にあります。そのため、生活習慣の改善によりNAFLDを予防したり、改善させることが期待できます。

体重を減らす。

運動習慣や食生活の改善により体重を減らすと、NAFLDは改善することが分かっています。肥満の方であれば、体重を減らすほど、肝臓内の脂肪が減少したり、肝臓の炎症や線維化も改善します。
そして、減量による効果は体重の5%程度を減らすと現れてくると言われているので、まずは3㎏から5㎏の減量を目標にスタートしましょう。

NAFLDを改善させるための運動とは?

NAFLDの改善のために勧められている運動は、ジョギングやスイミングなどの有酸素運動です。週3〜4日、30分〜60分程度を目安に有酸素運動を継続することで、脂肪肝の改善が期待できます。

また、レジスタンストレーニング(筋トレ)により筋肉量を増やすことも、脂肪肝の改善や予防に有効であることが分かってきています。有酸素運動にスクワットなどの筋トレを組み合わせるとより高い効果が得られるかもしれません。

NAFLDを改善させるための食生活とは?

NAFLDを改善させるための食生活の基本は、摂取カロリーを低く抑えることです。そのために、糖質制限や脂質制限することもありますが、どちらが良いという訳ではなく、極端な食生活は勧められません。地中海式ダイエットのように、バランスのよい食生活がNAFLDを改善させるためには有効だと考えられています。

果糖の過剰摂取は脂肪肝の原因になるため、糖分の多く含まれるジュースや清涼飲料水は避けた方がよいと考えられます。一方、コーヒーの摂取がNAFLDの発症や進展を予防する、という研究が複数あります。また、アルコールの過剰摂取も脂肪肝の原因となるため、飲酒は適量に抑えるのが望ましいと考えられています。

脂肪肝の改善にも期待できる健康食、地中海食については、以下の記事も参考にしてみてください。

生活習慣病の予防や改善のためにおすすめしたい食生活、地中海食について

 

病院で行われるNAFLDの検査や治療は?

NAFLDは基本的に自覚症状がほとんどないため、健診などでの血液検査で肝機能の異常を指摘されたことがきっかけになって診断されることが多いです。

NAFLDの診断方法や検査は?

NAFLDの診断には、アルコール摂取歴や他の病気の治療歴、肥満の有無などの問診に加えて、腹部超音波検査で脂肪肝を確認することや、肝機能異常の原因となる他の病気(ウイルス性肝炎やアルコール性肝炎など)でないことを確認することで診断されます。

NAFLDの中でも特に病状が進行していく状態、NASHの診断には肝生検が必要になります。そして、病状が進行していないかどうか、定期的に血液検査を確認したり、腹部超音波検査でチェックすることが大切です。

NAFLDの治療薬は?

NAFLDを劇的に改善させるような治療薬は現時点ではありません。NAFLDは生活習慣が原因となっていることが多いため、食事療法や運動療法が治療の主体になります。

また、NAFLDの方は同時に高血圧症や脂質代謝異常、糖尿病を合併していることが多いため、その治療をしっかり続けるとともに、肝臓の状態をチェックしていくことが必要になります。

 

草津栗東みらい内科クリニック 院長 梅谷 俊介
・日本内科学会 総合内科専門医
・日本呼吸器学会 呼吸器専門医

 

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