疲れやすさの原因かも?女性に多い、鉄欠乏性貧血について。|草津栗東みらい内科クリニック|栗東市小柿の内科、呼吸器内科

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疲れやすさの原因かも?女性に多い、鉄欠乏性貧血について。|草津栗東みらい内科クリニック|栗東市小柿の内科、呼吸器内科

疲れやすさの原因かも?女性に多い、鉄欠乏性貧血について。

健診で見つかる異常の中で、若い女性に非常に多いのが「貧血」です。また、なんとなく体調が悪い、疲れやすいなどの症状がある方の中には、鉄欠乏性貧血が症状の原因になっていることも多いです。

鉄欠乏性貧血は、放置していると貧血の症状だけでなく、肌や髪、爪のトラブルの原因になったりします。また貧血の原因には、思わぬ病気が隠れていることもあります。

鉄欠乏性貧血の症状

血液中の鉄分が足りなくなると、酸素を運ぶためのヘモグロビンが不足し、貧血になります。貧血になると主に、以下のような症状がでます。

☑ 動悸、息切れがする
☑ 疲れやすい
☑ めまい(立ち眩み)、頭痛

また、鉄欠乏の症状として、爪がスプーン状になり割れやすくなる、唇や舌に炎症が起きやすくなる、髪が抜けやすくなる、肌があれる、氷などを食べたくなるなどの症状が起きることもあります。

貧血はないけど鉄は不足している、非貧血性鉄欠乏とは

非貧血性鉄欠乏(Iron Deficiency without Anemia)は、貧血はないものの、血液中の鉄濃度が正常値以下になっている状態を指します。鉄が不足しており、貧血になる一歩手前の状態です。

非貧血性鉄欠乏になると、貧血がなくても、疲れやすい、肌が荒れるなど、鉄欠乏性貧血と同様の症状がでます。なんとなく体調が悪い、という場合に血液検査で鉄分が不足していないかどうかチェックするとよいでしょう。

鉄欠乏性貧血の原因

鉄欠乏性貧血の原因には、以下のようなものがありますが、性別や年齢によって原因が異なることが多いです。

☑ 食事からの鉄分摂取が不足している。
☑ 消化管からの鉄の吸収が障害されている。
☑ 出血により鉄分が失われている。

女性に多い貧血の原因は?

女性は男性に比べて、鉄欠乏性貧血の発症が非常に多い傾向があります。月経のある女性の5人に1人は貧血があり、さらに多くの人が非貧血性鉄欠乏状態であると言われています。女性が鉄欠乏になりやすいのには、以下のような理由があります。

月経:経血からの鉄分の喪失があるため、鉄欠乏になりやすくなります。特に、経血の量が多い場合は貧血が改善しにくいので、婦人科で相談されることがすすめられます。

妊娠: 妊娠中には、胎児の発育に鉄分が必要になったり、母体に必要な血液量が多くなります。このため、鉄欠乏が起こりやすくなります。

食生活:特に若い女性の中には、無理なダイエットで食事を少なくしたり、偏食になる方もいますが、食事からの鉄分摂取が不足することがあります。

このように女性は鉄欠乏になりやすいため、普段から鉄含有量の多い食品を摂取するようにしたり、サプリメントを利用するのも良いと思います。

男性、高齢者の貧血は要注意

高齢者に多い鉄欠乏性貧血の理由は「がん」です。特に胃がんや大腸がんなど消化管のがんがあると、鉄分の吸収が阻害されたり、がんからの出血により鉄分を喪失している場合があります。

そのため、鉄欠乏性貧血が見つかった場合には「がん」が隠れていないかどうか注意が必要です。また通常は貧血になりにくい男性に鉄欠乏が見られた場合も、「がん」がないかどうか、精査を検討します。

鉄の吸収障害

食事から摂取された鉄は十二指腸や空腸(小腸の一部)から吸収されるため、消化管の問題で鉄の吸収が障害されることがあります。

鉄は胃酸の働きにより吸収されやすくなるため、胃や十二指腸切除後の方は鉄欠乏性貧血になりやすくなります。また、胃のピロリ菌感染による萎縮性胃炎のため、胃酸の分泌が障害され、鉄の吸収が悪くなる場合もあります。

鉄欠乏性貧血の予防

鉄欠乏性貧血を予防するためには、食事から摂取する鉄分が不足しないようにすることが大切です。また、閉経前の女性で貧血になりやすい方は、サプリメントで鉄の補給をするのもおすすめです。

鉄が多く含まれる食品

鉄は主に肉類や魚、牛乳、卵など動物性食品から摂取されます。動物性食品に含まれる鉄はヘム鉄と言われ消化管から吸収されやすい特徴があります。特に鉄の含有量が多い食品はレバーで、意識して鉄の摂取量を増やしたい場合はオススメです。

納豆、豆腐など大豆加工品や豆類、海藻類、小松菜やほうれん草などにも鉄が多く含まれていますが、植物性食品に含まれている鉄は、非ヘム鉄と言われ、肉類や魚に含まれるヘム鉄よりも吸収が悪いことに注意が必要です。

鉄欠乏性貧血の診断

鉄欠乏性貧血の診断のために、血液検査を行います。血液中の赤血球数、ヘモグロビン値、鉄濃度などを調べます。フェリチン値は体に貯蔵されている鉄の量を反映するため、特に重要です。

鉄欠乏性貧血の原因を調べる

消化管の異常があると鉄の吸収が障害されたり、胃潰瘍や胃がんなどが出血の原因になることもあります。そのため、胃カメラ検査や大腸カメラ検査を行うことも検討します。

また、閉経前の女性の場合は、月経が貧血の原因になりやすいですが、出血の量が多い場合や不正出血がある場合には、婦人科での診察や治療もすすめられます。

鉄欠乏性貧血以外の貧血にも注意

貧血の原因の中では鉄欠乏が最も多いですが、その他にも非常に多くの種類の貧血があります。検査の結果、鉄欠乏がない場合や鉄を補充しても貧血が改善しない場合などでは、貧血になる他の病気を考える必要があります。

鉄欠乏性貧血の治療

鉄欠乏性貧血は鉄を補充することで改善します。鉄剤の内服薬で治療することが多く、およそ1〜3ヵ月の治療で貧血は改善していきます。
貧血が改善した後すぐに治療を止めてしまうと、またすぐに貧血になることが多いため、十分に鉄が貯蔵できるまでは数か月治療を継続する必要があります。
鉄剤の内服で吐き気を感じてしまい続けられないことがときどきあります。そのような場合は点滴で鉄を投与することもできます。

まとめ

鉄欠乏性貧血は非常に多い疾患の一つですが、健診などで貧血を指摘されても放置されてしまっていることが多いと感じます。

疲れやすい、体がだるいといったよくある症状の原因が鉄欠乏であることも非常に多く、実際に治療をすると、「体が軽くなった」「動悸を感じなくなった」など症状がよくなり驚く方が多いです。

当院でも貧血の診療を行っております。健診などで貧血を指摘された方や、体調不良があり貧血が心配な方は是非ご相談ください。

草津栗東みらい内科クリニック 院長 梅谷 俊介
・日本内科学会 総合内科専門医
・日本呼吸器学会 呼吸器専門医