令和8年度からの肺炎球菌ワクチンについて
肺炎は日本における主要な死亡原因のひとつであり、特に高齢者や基礎疾患(慢性呼吸器疾患、心血管疾患、糖尿病など)を有する患者では重症化リスクが高いことが知られています。
肺炎球菌は肺炎の代表的原因菌ですが、肺炎だけでなく菌血症や髄膜炎などのより重篤な感染症(侵襲性肺炎球菌感染症)の原因となることもあります。
これらの予防において、肺炎球菌ワクチン接種は極めて有効な手段です。
これから主流になる結合型ワクチンとは?
成人に使用される肺炎球菌ワクチンには、従来から使用されてきた莢膜ポリサッカライドワクチン(ニューモバックス)と、近年成人においても使用されるようになった結合型ワクチン(プレベナー20、キャップバックス)があります。
莢膜ポリサッカライドワクチン(ニューモバックス)は、比較的多くの血清型をカバーできる一方で、免疫記憶が形成されにくく、効果の持続が限られるという特徴があります。そのため、時間の経過とともに予防効果が低下してしまうため、追加接種が勧められていました。一方、結合型ワクチンは、T細胞依存性免疫を誘導する設計となっており、免疫記憶が形成されるため、より長期間にわたって安定した免疫効果が期待できます。
令和8年度からの肺炎球菌ワクチン定期接種が、ニューモバックスから結合型ワクチンであるプレベナー20に切り替わりました。今後は結合型ワクチンが主流になっていくと思います。
結合型ワクチンの種類と特徴
現在、成人に使用される主な結合型肺炎球菌ワクチンとして
「プレベナー20(PCV20)」および「キャップバックス(PCV21)」があります。
プレベナー20(20価結合型ワクチン:PCV20)
20種類の血清型に対する免疫を誘導する結合型ワクチンです。T細胞依存性免疫を誘導し、免疫記憶の形成および持続的な免疫応答が期待されます。
令和8年度(2026年4月)より、高齢者肺炎球菌ワクチンの定期接種として採用されており、65歳の方では公費での接種が可能です。
キャップバックス(21価結合型ワクチン:PCV21)
2025年10月に発売された新規結合型ワクチンで、21種類の血清型に対応しています。PCV20と同様にT細胞依存性免疫を誘導しつつ、より広範な血清型をカバーできる点が特徴です。
現時点では任意接種(自費)での接種となります。
当院での接種費用
プレベナー20:11,000円(自費)、3600円(65歳:草津市・栗東市)
キャップバックス:14,000円
自費の場合、キャップバックスは費用がやや高くなりますが、より多くの血清型をカバーできる点から、より広い予防効果が期待されます。そのため当院では、特に重症化リスクの高い方や、より確実な予防を希望される方にはキャップバックスをおすすめしています。
これまでに肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)を接種された方は
従来の定期接種で使用されていた23価肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)は、時間の経過とともに予防効果が低下してしまいます。そのため、過去にニューモバックスを接種された方には結合型ワクチンの追加接種がおすすめです。
ニューモバックス接種後に結合型ワクチン(プレベナー20またはキャップバックス)を接種する場合、原則として1年以上の間隔をあけて接種することができます。
特に、前回接種から5年以上経過している場合、高齢者、免疫不全などの基礎疾患がある方には、より積極的に接種をおすすめします。
まとめ
令和8年度からはプレベナー20が定期接種となりましたが、キャップバックス(PCV21)という新たな選択肢も登場し、より広範な予防を重視したワクチン選択が可能となっています。
当院では、65歳の定期接種の方はもちろん、過去にニューモバックスを接種された方、定期接種の機会を逃してしまった方については自費での肺炎球菌ワクチン接種を行っております。
ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
草津栗東みらい内科クリニック 院長 梅谷 俊介
・日本内科学会 総合内科専門医
・日本呼吸器学会 呼吸器専門医
