日本人に最も多い頭痛、緊張型頭痛を予防する方法について
緊張型頭痛は、頭の後ろや首が重たく感じる、頭全体が締め付けられるように痛むといった症状が特徴の頭痛です。頭や首の周りの筋肉が過剰に緊張することや、痛みに対する脳の調整機能がうまく働かなくなることが痛みの原因といわれています。
日本人にもっとも多いタイプの頭痛であり多くの人が経験しますが、たびたび繰り返して困る場合や毎日のように症状が出てしまう場合もあります。頭痛の特徴を知り、予防方法や対処法を身につけられれば、頭痛を防いだり、症状を軽くできるかもしれません。
緊張型頭痛の特徴
- 後頭部を中心に頭が重たい感じがする
- 頭の両側、または全体的に締め付けられるような痛みがする
- 首や肩のこりがある
- 光や音に過敏ではない、吐き気もない。
- 痛みは比較的軽く、仕事や日常生活にはいつもと同じようにできる
このような症状で、頭痛自体もそれほど強くなければ、緊張型頭痛の可能性が高いと考えられます。
受診が必要な頭痛は?
緊張型頭痛は比較的軽症の頭痛であり、鎮痛薬が効いたり、自然によくなったりします。また命にかかわるような頭痛ではないので、必ず病院を受診しないといけない訳ではありません。
しかし、緊張型頭痛ではない頭痛の場合、痛みが強くて日常生活に支障をきたしてしまったり、放置しておくと障がいが残ったり命に関わるものもあるため、受診した方がいい場合もあります。
今まで感じた事がないような頭痛、痛みが強く日常生活に支障がでる場合、ある瞬間から突然発生した頭痛などの場合には病院を受診することをおすすめします。
片頭痛
痛みが片側にかたよっている、痛みが強くて動けない、吐き気があったり吐いてしまう、光や音がしんどく感じる、などの症状がある場合には片頭痛かもしれません。
片頭痛であれば、日常生活に支障をきたしてしまったり、頻繁に繰り返すようになることもあります。一般の鎮痛薬も効きづらい場合が多く、受診して治療を受けることをおすすめします。
くも膜下出血、脳内出血
突然、バットで殴られたような頭痛がする、今まで経験したような事がないような強い頭痛、強い吐き気を感じる、意識状態が悪い、頭痛とともに手足が動かしにくい、しゃべりにくい、言葉が出にくいなどの症状があれば、くも膜下出血や脳内出血などの可能性があります。
このような場合は速やかに病院を(場合によっては救急車を呼んで)受診することが必要です。
緊張型頭痛の誘因とその対処法は?
疲労、睡眠不足、精神的ストレスなどが頭痛の誘因となります。これらをなるべく避けるようにすると、頭痛は起きにくいかもしれません。その他にも日常生活のちょっとした工夫や習慣で頭痛を予防することができるかもしれません。
首や体を動かす
デスクワークなどで、長時間、首や頭の姿勢を動かさないと首や頭の周りの筋肉は固く緊張してしまい、頭痛の原因になります。少なくとも1時間に1回は立ち上がって体を動かしたり、ストレッチするなど首や肩を動かしましょう。
スマホの使い方に注意
スマホを使用するときには、首を下に傾けた姿勢になってしまいがちです。この姿勢になると頸椎がまっすぐ並ぶようになり(ストレートネック)、首の後ろの筋肉に負担がかかり、頭痛の原因になります。また、長時間連続で使用すると、体を首をほとんど動かさないため筋肉が固くなってしまいます。
スマホを使用するときは、姿勢に注意して長時間連続で使用しないようにする、ときどき首を後ろに伸ばすようにストレッチするとよいでしょう。
首や体を冷やさないようにする
エアコンの風が当たってしまうなどして、首や体が冷えることも頭痛の要因になります。室温を調節し、首元を冷やさないようにしましょう。また、疲労や冷えを感じる場合は風呂で体を温める、蒸しタオルなどで首や肩を温めるのも有効です。
緊張型頭痛の薬物治療
緊張型頭痛にはアセトアミノフェンやイブプロフェン、ロキソプロフェンといった鎮痛薬が有効です。これらは薬局やドラッグストアでも頭痛薬として市販されています。
その他には、筋肉の緊張を緩和する薬剤や漢方薬も有効な場合がありますので、市販薬で十分に症状が取れなかったり、何度も繰り返して悩まされている場合には受診していただき、ご相談ください。
最後に
現代社会では、スマホの普及や過労、ストレスなど、頭痛の誘因がたくさんあり、多くの人が頭痛に悩まされているのではないかと思います。そして、多くの人が「がまん」しているようにも感じます。
生活を工夫すれば頭痛を予防できたり軽くすることができるかもしれませんが、それでも頭痛がよくならなければ、病院で相談していただいてもいいと思います。
この記事が少しでも参考になり、みなさまの頭痛改善に役に立てば幸いです。
草津栗東みらい内科クリニック 院長 梅谷 俊介
・日本内科学会 総合内科専門医
・日本呼吸器学会 呼吸器専門医
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