絶対に成功したい人必見!禁煙の成功率を高めるコツについて解説します。
「禁煙したいと思っているけど、自信がない」
「何度か失敗したけど、今回は絶対に成功させたい」
タバコには強い依存性があり、禁煙に成功できる人は決して多くはありません。それでも自力で禁煙できる人がいることもまた事実です。
喫煙は「タバコを吸う習慣」であり、禁煙とは「習慣を変えること」です。自分自身の行動パターン(習慣)を認識し、それを変えることで禁煙成功に近づきます。
ポイントは以下の3つです。
☑ 禁煙する前に準備を整える。
☑ 吸いたくなるような状況を認識して回避する。
☑ 吸いたくなったときに踏みとどまる方法を知っておく。
禁煙を始めるための準備
「思い立ったらすぐ禁煙!」も悪くないかもしれませんが、禁煙を始める前に入念に準備をしておくと禁煙の成功率を高くすることができます。
あなたが禁煙する理由は何でしょうか?
☑ パートナーに嫌がられているから止めたい
☑ 生まれてくる子供のために禁煙したい
☑ お金がもったいない
☑ 喫煙を続けていると病気になるんじゃないか心配だ
☑ タバコを吸うと体調が悪く感じる
始める前にまず、禁煙する意志を固めましょう。そのためには、なぜあなたが禁煙しようと思ったのか、明確にすることが重要です。紙に書き出してみるのもいいです。
禁煙が成功するまで、吸いたい気持ちと何度も戦う必要があります。どうしても吸いたくなった時には、どうして禁煙しようと思ったのかをもう一度思い出して、踏みとどまる必要があります。
禁煙を開始する日を決めましょう
禁煙する理由を明確にし、禁煙をする決意が固まったら、次は「禁煙する日」を決めましょう。なんとなく明日からと思って始めても、なんとなく止めてしまうかもしれません。
禁煙を開始する日はいつでもいいです。たとえば来月1日から、来週月曜日からなどでもいいですし、誕生日や結婚記念日など思い入れのある日から始めるのもいいでしょう。
そして、禁煙する日が決まったら、それを周りの人に宣言(コミット)しましょう。家族に禁煙を宣言することで、失敗すると恥ずかしい…という気持ちが生まれ、それが禁煙継続を助けてくれます。
また同僚に禁煙していることを知ってもらっていれば、休憩時間に喫煙に誘わないようにしてくれたり、吸いたいときにも励ましてくれるかもしれません。
タバコや喫煙具を処分する
さて、あなたは喫煙する意思を固め、禁煙を開始する日を決めました。
次にすることはタバコや灰皿、加熱式タバコならデバイス(本体)の処分です。これらはもう必要ないはずです。
禁煙中には必ず吸いたくなる時が来ます。でもその時にタバコが手元にあるかどうか、すぐに吸える状況にあるか、は禁煙の成否を分けます。禁煙を開始する前日、最後の1本を吸った後、タバコをすべて処分し退路を断ちましょう。
「でもやっぱり吸いたくなった時のために置いておこうかな…」と思ったあなたは、まだ禁煙する準備が整っていないかもしれません。もう一度、何のために禁煙するのか確認し、決意を固めましょう。
禁煙を成功させるためのコツ
禁煙中には必ず吸いたくなる時が来ます。その時にタバコを吸わずにやり過ごす方法を知っておくと役に立ちます。また、吸いたくなる状況をあらかじめ回避することも大切です。
どんなときにタバコを吸いたくなるのか確認しておく
喫煙は「習慣」です。だれでも必ず、タバコを吸うタイミング、吸いたくなる場面があります。あなたが、タバコを吸う/吸いたくなる状況は以下のどれでしょうか?
☑ 朝起きたら、とりあえず目覚ましに…
☑ 仕事の休憩にほっと一息…
☑ 昼食後に一服…
☑ 仕事終わりのご褒美に…
☑ 休日ベランダでリラックス…
☑ お酒を飲みながら…
・・・
禁煙を成功させるためには、このような場面でついつい吸ってしまわないようにしなければなりません。そのためには、タバコを吸う代わりのものを考えておいたり、吸いたい場面に近寄らないよう行動のルールを決めておくと役に立ちます。
例えば、
☑ 眠たくなったら → 顔を洗う
☑ 休憩するときは → 喫煙コーナーに近づかない
☑ 休日には → 軽く運動をするようにする
☑ 仕事終わりに → お酒を飲みに行くのは止めておく
といったように、行動のルールを決めておきましょう。
吸いたくなったときの対処法
禁煙中にタバコを吸いたくなるときは必ずきます。しかし、一日中ずっと吸いたい状態が続く訳ではありません。
吸いたい衝動は1分程度、長くても3〜5分でおさまります。この数分の衝動をやり過ごす方法を考えておきましょう。
以下のような行動は吸いたい衝動をやり過ごすために役に立ちます。
①冷たい水を飲む、氷を噛む
冷たい水を飲むことで気分転換になります。また、口に冷たい刺激が入ることで吸いたい気持ちが和らぎます。
②とりあえず歯をみがく
歯磨きが口に刺激を与えます。また、吸いたくなくなるまで時間をつぶすこともできます。
③ガムを噛む
口を動かしたり噛んだりする刺激によって吸いたい気持ちを抑えます。ニコチンガムを使用するとより効果が高くなります。
➃深呼吸したり、体を伸ばしたりする
吸いたい衝動でイライラするときには、深呼吸やストレッチをしてみましょう。好きな音楽を聴いてリラックスするのもいいです。
⑤運動する、ジョギングをする
休日など時間があるときに、吸いたくなったら、外に出てジョギングしたり軽く運動をすることも有効です。
どれくらい禁煙できたら成功と言える?
禁煙の目標はもう二度と吸わない事だと思いますが、なかなか難しいのも現実です。
挫折してしまわないよう、最初は短い時間の禁煙を目標にしてコツコツ伸ばしていくとよいでしょう。
たとえば以下のように、小さなステップをクリアしていけば最終的に完全な禁煙を達成できる可能性は高くなります。
1日目
ニコチンが体から抜けていくとともに、強い禁断症状が出現します。冷たい水を飲んだり、顔を洗ったりして衝動をやり過ごしましょう。最初の24時間禁煙できれば大したものです。
2~3日目
2~3日目にかけては、強かった禁断症状が少しずつ収まってきます。ガムを噛んだり、体を動かしたりしながら吸いたい気持ちに対処していきましょう。最初の3日を禁煙できれば、ひとまず成功と言えます。
1~2週間目
1~2週間たてば禁断症状はほとんどなくなってきますが、吸いたい気持ちはまだ残っているかもしれません。2週間の禁煙生活が続けば、今度は喫煙しないことが習慣になってくるので、その後も禁煙を続けられる可能性が一段と高くなったと言えるでしょう。
2週間~2ヵ月
吸いたい気持ちはなくなっていきますが、ふとした場面で吸いたくなることはやっぱりあります。油断せずに禁煙を続けましょう。喫煙所の前を通る、お酒を飲む場所に行くなど、吸いたくなりそうな場面はまだ避けた方がよいでしょう。
2ヵ月~
2ヵ月以上続けば禁煙に成功したと言ってもいいかもしれません。ただし、友人からタバコを勧められるなどして、「1本だけなら大丈夫かも?」と思ってしまうことはあるかもしれません。その1本が命取りになると肝に銘じて、禁煙を続けましょう。
禁煙に失敗したら?
「しばらく頑張ったけれども、やっぱりまた吸うようになってしまった。」
こんなときでも落ち込む必要はありません。ニコチンの依存性はとても強く、自力で禁煙に成功する確率は10%に満たないとされています。失敗しても、ある意味あたりまえです。
禁煙に成功する人の多くは何回も失敗を繰り返しながら、禁煙に成功しています。大切な事は、なぜ禁煙に失敗したのか分析することです。
☑ 友人に勧められた1本を断ることができなかった。今度は、友人に「禁煙中だから協力して欲しい」と伝えるようにしよう。
☑ 仕事のストレスが多くてついついタバコを吸ってしまった。次は、仕事が落ち着いている時に禁煙をはじめよう。
☑ お酒を飲んだときについつい吸ってしまった。次に禁煙に挑戦するときは、お酒は控えるようにしよう。
このように、失敗した要因を見直して次に生かせば、少しずつ禁煙に近づいていきます。あきらめずに禁煙にチャレンジしましょう。
禁煙外来
「何度かチャレンジしてみたけど禁煙できなかった。」
「自力で禁煙するのは難しそう。」
このような場合は禁煙外来を受診することを検討してはいかがでしょうか。特に、最初の2週間で吸いたい衝動を抑えきれない場合には、ニコチン離脱症状が強いと考えられます。そのような場合は特に禁煙治療が有効と考えられます。
禁煙外来で使用される、バレニクリン(チャンピックス)という飲み薬(※2023年1月時点では供給停止しています)や、ニコチンパッチはニコチン離脱症状を和らげ、吸いたい症状を抑えてくれます。
禁煙外来では2〜4週間に一度受診していただくことになりますが、禁煙状況の確認、薬の副作用が出ていないかのチェック、禁煙継続のためのアドバイスなど、禁煙するためのサポートが得られます。禁煙外来にしっかり通院していただければ、70〜90%と高確率で禁煙に成功することができます。
最後に
かなりの長文になってしまいましたが、禁煙を成功させるためのコツについて解説いたしました。最後まで読みきっていただいた貴方は、きっと強い意志を持ってタバコを止めたいと思っているのでしょう。
それだけ強い意志があれば必ず成し遂げることができます。
禁煙を始めましょう。成功を祈っています。
草津栗東みらい内科クリニック 院長 梅谷 俊介
・日本禁煙学会 認定指導医
・日本内科学会 総合内科専門医
・日本呼吸器学会 呼吸器専門医
参考文献:禁煙治療のための標準手順書(第8版)
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