吐き気を感じる強い頭痛は片頭痛かも?その特徴と対処法について
片頭痛は、緊張型頭痛に次いで多いタイプの頭痛です。緊張型頭痛と比べて痛みが強く、吐き気を伴うことが多く日常生活に支障がでてしまうのが特徴です。
片頭痛のメカニズムは解明されていませんが、血管の収縮と拡張、三叉神経血管の炎症などによって頭痛が起きると言われています。
片頭痛の原因は個人によって様々ですが、ストレス、睡眠の乱れ、食生活の乱れ、アルコールやタバコなどが関係していることがあります。片頭痛は、薬物療法によって治療することができますが、ストレスや睡眠の調整、食生活の見直しなど、生活習慣の改善も重要です。
片頭痛の症状は?
片頭痛の症状には以下のような特徴があります。
・痛みは頭の特定の部位や、左右どちらかに偏っている
・脈に合わせてズキンズキンと痛む(拍動性頭痛)
・吐き気を感じる。ひどいときには嘔吐することもある。
・ニオイや光の刺激に対して過敏になる。
・痛みは数時間~3日程度持続する
また症状が強いために、仕事を中断しなければならなかったり、日常生活に支障が出ることが特徴です。頭痛が繰り返し起きる場合には、受診して相談することをおすすめします。
片頭痛になりやすい人は?
片頭痛は20代〜40代に多く発症しますが、中学生や高校生など若い人にもみられます。男性よりも女性に多いとされています。片頭痛は女性ホルモンと関連している場合があり、月経前や月経中に頭痛が起きやすい人もいます。
また、ストレスを抱えていたり、不安が多い人は片頭痛を起こしやすい傾向があります。疲労や睡眠不足、生活が不規則な場合もなりやすいです。
片頭痛の発症には遺伝的な要因があることが分かっており、家族(特に母親)が片頭痛を起こしたことがある人は発症リスクが高いと考えられています。
片頭痛の誘因は?
片頭痛の誘因は様々ですが、以下のようなものが考えられます。
・ストレスや疲労、体調不良
・睡眠不足や睡眠の乱れ
・不規則な食生活:空腹時間が長くなりすぎると頭痛が誘発されることがあります。
・天候や湿度・温度の変化で症状が起きることがあります。「天気痛」とも言われます。
・騒音や強い光、長時間のPCやスマートフォンの使用
・アルコールやタバコ、カフェインの過剰摂取(エナジードリンクなど)
個人によって、頭痛が誘発されやすい状況やきっかけは様々ですが、自分の頭痛が何によって引き起こされているのか把握しておくと片頭痛の予防に役立ちます。
片頭痛を予防するためには?
片頭痛を予防するためには以下のように様々な方法がありますが、効果的な予防法は個人によって異なります。自身の頭痛の誘因になっているような行動を避けることが予防に役立ちます。
・十分に睡眠をとる。就寝時間と起床時間を一定に規則正しい生活を心がける。
・ストレスを減らす。可能であれば、ストレスになりそうな事を避けるようにしたり、ストレスを感じた時にはリラックスするための手段を考えるとよいでしょう。
・食生活を調整する。特に、空腹時間が長くなりすぎないように、定時に食事をとるようにしましょう。
・適度な運動をする。適度な運動は、ストレスを減らし、睡眠を改善する効果があります。
・アルコールやタバコの使用を減らす。特に、ワインやチーズは片頭痛の誘因になる場合があり、心当たりがある方は避けた方がよいかもしれません。
片頭痛の薬物療法
生活習慣の改善だけでは十分に片頭痛が回避できない場合や、痛みが強くてツラい場合、慢性的に頭痛が起きるようであれば受診して治療を相談しましょう。
片頭痛の薬物療法には、様々な種類の薬物があります。一般的には、以下のような薬物が使用されます。
鎮痛薬
アセトアミノフェン、ロキソプロフェン、イブプロフェンなどの鎮痛薬は片頭痛にも有効で、特に症状が軽度の場合に使います。これらは病院でも処方できますが、市販されているのでドラッグストアなどでも手に入ります。
また吐き気が強い場合は、制吐薬(メトクロプラミドなど)も使用されます。
トリプタン製剤
トリプタン製剤は、片頭痛の治療に最もよく使用される薬物です。アセトアミノフェンなどの鎮痛薬で効果が十分でない場合に使用されます。特に頭痛の起こり始め、出来れば頭痛が出てから1時間以内に飲むと高い効果が期待できます。
片頭痛の予防薬
片頭痛の発作が月に2回以上ある場合には頭痛の予防薬を検討します。予防薬を使用することで、頭痛の頻度を減らしたり、痛みの強さを軽減できる効果が期待できます。
バルプロ酸、プロプラノロール、アミトリプチリンの内服がよく使用されていますが、最近では抗CGRP抗体といった新しい薬剤も登場しており、片頭痛の予防に高い効果が期待できます。
最後に
片頭痛は決してめずらしい病気ではないですが、片頭痛患者のうち受診して治療を受けている人はごく一部であると考えられています。
多くの人は頭痛症状を我慢していると思いますが、片頭痛がおきると仕事を中断したり、休む必要があったり、家事を続けられないなど日常生活に支障が出てしまいます。市販の頭痛薬ではあまり効果がない、月2回以上の頻度で頭痛がおきる、頭痛が強くて寝込んでしまうなどが受診の目安になります。
治療により、頭痛を速やかに改善させる事ができたり、頭痛を予防できるようになる方法があります。頭痛に悩まされている方は、是非ご相談ください。
草津栗東みらい内科クリニック 院長 梅谷 俊介
・日本内科学会 総合内科専門医
・日本呼吸器学会 呼吸器専門医
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