安全な渡航のために必ず受けておきたい、渡航前ワクチン(トラベラーズワクチン)について|草津栗東みらい内科クリニック|栗東市小柿の内科、呼吸器内科

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安全な渡航のために必ず受けておきたい、渡航前ワクチン(トラベラーズワクチン)について|草津栗東みらい内科クリニック|栗東市小柿の内科、呼吸器内科

安全な渡航のために必ず受けておきたい、渡航前ワクチン(トラベラーズワクチン)について

新型コロナウイルスが発生して3年が経ちます。長い間、国と国との間の往来は制限されていましたが、世界中で渡航制限を緩和する動きが広がってきました。これからは、日本からも仕事で海外に出張・駐在したり、旅行に行かれる方も増えていくのではないかと思います。

新型コロナウイルス以外にも、世界中には多くの感染症があり、その中には日本ではほとんど発生していないものもあります。たとえば、狂犬病はウイルスを持った動物に咬まれることで発症する感染症です。狂犬病の致死率はほぼ100%と恐ろしい病気ですが、ワクチンで予防することができます。

このように、事前に情報を手に入れ、準備をしておくことで渡航をより安全なものにすることができます。今回は、安全な海外渡航のために知っておきたい、渡航前ワクチン(トラベラーズワクチン)と感染症について解説してみたいと思います。

渡航地域にかかわらず予防したい5つの感染症

これから紹介する5つの感染症は日本でも感染する可能性がありますが、日本よりも衛生環境が悪い地域に渡航する場合や、現地の流行状況によっては、日本よりも感染するリスクが高くなる可能性があります。母子手帳などでワクチン接種歴を確認し、必要な場合には接種を検討しましょう。

A型肝炎

A型肝炎はA型肝炎ウイルスによる感染症で、主にウイルスに汚染された水や食品を摂取することで感染します。上下水道が整備されていないなど、衛生環境が悪い地域で流行しています。

ウイルスに感染すると、急性の肝炎を引き起こし、発熱や倦怠感、黄疸などの症状が出ます。多くは自然に回復しますが、まれに劇症肝炎を引き起こし、致命的になる場合があります。A型肝炎ワクチンによる予防が可能です。

B型肝炎

B型肝炎ウイルスは、感染者との性行為やウイルスに汚染された針などの医療器具の使用で感染します。感染すると、1〜6ヵ月の潜伏期間を経て、倦怠感や嘔気、黄疸など肝炎の症状が出ます。一部の人で肝炎は慢性化し、肝硬変になったり肝臓がんの原因になる場合があります。

B型肝炎は世界中の多くの地域で発生しており、不特定の人との性行為や途上国での医療行為、不衛生な環境での刺青やピアスで感染する可能性があります。感染はワクチンで予防可能で、途上国への長期滞在予定があれば接種がすすめられます。

破傷風

破傷風菌は世界中の土壌など環境に生息しており、土などで汚れた傷口から感染します。破傷風を発症すると、全身のけいれんや麻痺、呼吸困難から死に至ります。途上国など衛生環境の悪い地域に渡航する場合や、冒険旅行などケガをする可能性が高い場合にはワクチン接種がすすめられます。

麻疹(はしか)

麻疹ウイルスは非常に感染力が強いウイルスです。途上国などワクチン接種率が低い地域で流行していますが、日本を含む先進国でも散発的に流行が見られます。ウイルスに感染すると、発熱や咳、結膜充血、発疹などの症状がでます。まれに脳炎や肺炎を引き起こし重症化する場合があります。

定期接種等で過去に2回の接種を完了していれば追加でワクチンを接種する必要はありませんが、未接種または1回しか接種したことがなければ、渡航前に接種を検討しましょう。

風疹(ふうしん)

感染すると発熱や発疹、リンパ節腫脹などの症状がでます。比較的軽症で終わることが多いですが、妊娠中に風疹に感染した場合には胎児にも感染し、流産の原因になったり、先天性風疹症候群を引き起こすことがあります。
風疹は世界中で発生している感染症ですが、中国やベトナム、フィリピンなどのアジア地域で特に流行がみられます。ワクチン接種の回数は麻疹と同様で、過去に2回ワクチン接種をしていれば追加の接種は不要です。

風しんワクチンについては以下の記事でも解説しています。↓

未来の子どものための予防接種。先天性風疹症候群を予防するための風しんワクチン接種について。

渡航地域によって接種が必要なワクチン

熱帯地域や途上国など特定の地域で流行している感染症がありますが、その中にもワクチンで予防できるものがあります。渡航先が決まっていれば、その地域に必要な予防接種をあらかじめ把握しておきましょう。

【厚生労働省検疫所FORTHホームページ:国地域別情報】

狂犬病

海外渡航の際に最も注意したい感染症は狂犬病です。狂犬病ウイルスはイヌをはじめとしてキツネ、コウモリなどの動物に咬まれることで感染します。一度発症してしまうと致死率はほぼ100%と言われています。

日本やオーストラリア、イギリス、北欧などの地域を除く全世界で毎年4万人程度が犠牲になっており、特にインド(年間約2万人)や中国などアジア地域で多く発生しています。

狂犬病はワクチンで防ぐことができるので、渡航前には接種を済ませておきましょう。また、狂犬病ワクチンは曝露後予防(動物に咬まれた後、狂犬病を発症するのを防ぐ)目的でも使用されます。海外で動物に咬まれた後には速やかに現地の医療機関に相談しましょう。

日本脳炎

日本脳炎は日本を含むアジア地域で流行している感染症です。ウイルスを持っている蚊に指されることで感染します。多くの人は感染しても無症状ですが、まれに脳炎を引き起こし強い頭痛やけいれんなどの症状がおこります。

特に農村地域に滞在する場合には感染リスクがあるため、渡航前にワクチン接種を検討しましょう。

ポリオ

ポリオウイルスによる感染症で、感染すると麻痺が起きる可能性があります。アフガニスタン、パキスタンや、アフリカの一部地域で流行しています。

現在、ポリオワクチンは定期接種が行われていますが、接種歴がない/不明な場合や、流行地域に滞在する前にはワクチン接種を受けておきましょう。

髄膜炎菌

髄膜炎菌は化膿性髄膜炎を引き起こす菌で人から人へ感染します。特にサハラ以南のアフリカで流行していますが、全世界で散発的に発生しています。流行地域に渡航する場合は、予防接種を受けておいた方がよいでしょう。
またアメリカやカナダ、オーストラリアなどでは髄膜炎菌ワクチンは定期接種が行われており、現地の大学に留学する際には予防接種が求められる場合があります。

黄熱病

黄熱病は蚊に刺されると発症する全身性の感染症で、発熱や筋肉痛、頭痛吐き気などの症状がでます。中南米やアフリカの熱帯地域で感染する可能性があります。

黄熱の予防接種証明書を携帯していないと入国できない国や、流行地域から入国する場合に予防接種証明書の提示を求められる国があります。

黄熱病ワクチンの接種は各地の検疫所など限られた場所で行われています。流行地域や接種証明書が求められる国などの情報はあらかじめ以下のページで調べておきましょう。

【厚生労働省検疫所FORTHホームページ:黄熱について】

過去にワクチンを接種している場合は?

渡航前に勧められる上記のワクチンの中には、過去に定期接種などで接種している場合には省略可能であったり、接種回数が少なくてすむことがあります。医療機関でワクチンの相談をする場合には、母子手帳などワクチン接種記録を持参するようにしましょう。

ワクチンには有効期間がある場合もある

渡航前に勧められるワクチンには接種してから時間が経つと効果が弱まってくる場合があります。たとえば、狂犬病ワクチンは約3年、B型肝炎や破傷風ワクチンは約10年が有効期間と考えられています。期間が切れている場合には追加接種をしましょう。

一方、麻疹・風疹ワクチンなど、過去に定められた回数の接種を完了していれば生涯有効とされるものもあります。

渡航先の情報収集について

今回はワクチンで予防できる10種類の感染症について解説しましたが、最新の情報や詳細な情報も必ず調べておきましょう。

政府機関が運営している以下のホームページでは、海外で流行している感染症についての情報や予防方法、地域別の感染症発生動向や、それ以外の危険情報も手に入れることができますので是非ご活用ください。

・厚生労働省検疫所FORTHホームページ 
・外務省海外安全ホームページ

ワクチンで予防できる感染症以外にも、マラリアやデング熱など注意すべき多くの感染症があります。手指衛生、生水を避ける、蚊を避ける、不特定の相手との性行為を避ける、などワクチン以外の基本的な感染症予防も大切です。

また、ワクチンには期間を空けて複数回接種しなければならないものもあり、なるべく早めに接種を開始する必要があります。渡航が決まれば、なるべく早く医療機関に相談するようにしましょう。

草津栗東みらい内科クリニック 院長 梅谷 俊介
・日本内科学会 総合内科専門医
・日本呼吸器学会 呼吸器専門医
・日本旅行医学会 認定医・留学安全管理者