適量はどれくらい?健康を維持するためのお酒との付き合い方について|草津栗東みらい内科クリニック|栗東市小柿の内科、呼吸器内科

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適量はどれくらい?健康を維持するためのお酒との付き合い方について|草津栗東みらい内科クリニック|栗東市小柿の内科、呼吸器内科

適量はどれくらい?健康を維持するためのお酒との付き合い方について

アルコールは肝臓に悪い、というイメージを持っている方は多いと思いますが、アルコールによる健康への影響のうち肝臓への影響はごく一部であり、多数の病気の原因となることが知られています。

アルコール摂取量が多ければ多いほど病気のリスクがあがりますが、節度ある適量な飲酒量であればそれほど気にする必要はないかもしれません。

この記事では、適度な飲酒量はどれくらいなのか?について解説していきます。

アルコールが原因となる病気は?

アルコールと関連する病気は200種類以上あると報告されています。

飲酒が原因となる代表的な病気は、アルコール性肝炎、急性膵炎だけでなく、脳の病気(認知症やウェルニッケ脳症など)や心臓病(アルコール性心筋症や心房細動など)があげられます。また飲酒は食道がんや大腸がんなど、多くの種類のがんのリスクを上げることも分かっています。

少しの飲酒はむしろ体にいいって本当?

昔から酒は百薬の長と言われ、お酒を飲むことは体によいと言われてきました。

過去の研究からは、適量の飲酒をする習慣がある人はアルコールをまったく摂取しない人と比べて、心血管病(心筋梗塞や脳卒中など)のリスクが低くなることが知られ「Jカーブ効果」として少量の飲酒はむしろ健康によいというのが定説となっていました。

最新の研究では

しかし、最新の研究結果※からは少量の飲酒が心血管病のリスクを低下させることは否定的と報告され注目を集めています。この研究結果からは、少量の飲酒が体にいいということはなさそうで、少なくともお酒を飲む習慣のない方が健康のために「あえて」お酒を飲むようにするメリットはなさそうです。

※Biddinger KJ, et al. JAMA Netw Open. 2022;5(3):e223849.

結局、適度な飲酒ってどれくらいなの?

厚生省(厚生労働省)が多数の有識者や専門家を集めて議論を重ねて策定した「健康日本21」では、節度ある適量の飲酒量として、アルコール20g程度としています。適量を超えるアルコール摂取は健康に悪影響がでる可能性が高くなります。

アルコール20g ってどれくらいの量

アルコール20gは、ビール(5%)500ml、チューハイ(7%)350ml、日本酒1合、ワイン200ml、焼酎(原液)80ml、ウイスキー(原液)60ml、に相当します。

適量の2倍(1日40g以上)のアルコールを摂取すると?

1日平均40g以上のアルコールを摂取すると、様々な生活習慣病に悪影響が出てきます。アルコール摂取量が増えれば増えるほど血圧は高くなります。過剰なアルコール摂取は中性脂肪の増加につながり、脂肪肝の原因になります。尿酸値が高くなって痛風を発症することもあります。

適量の3倍(1日60g以上)のアルコールを摂取すると?

1日平均60g以上のアルコール摂取は、大量飲酒と言われ、健康上大きな問題を抱えることが多いです。大量飲酒者では急性膵炎や肝硬変の発症リスクが大きく高くなることに加え、アルコールによる精神への影響も懸念されます。

アルコール摂取量が多いほど脳が萎縮している割合が高いことが知られており、アルコール乱用または大量飲酒をしていた方はそうでない方と比べて認知症の発症リスクが4.6倍、うつ病の発症リスクが3.7倍との報告もあります。

休肝日があれば大丈夫?

休肝日(アルコールを摂取しない日)を作ることは、飲酒量をコントロールすることに役立ちます。例えば、飲み過ぎた日の翌日を休肝日とすることで平均の飲酒量を抑えることができます。また飲まない日を作ることで、アルコール依存症を予防する上でも役立つと考えられます。

しかしながら、休肝日さえあればたくさん飲んでも大丈夫、という訳ではないことには注意が必要です。

特に飲酒に注意した方がいい人は?

一般的に言われている適度なアルコールの量について解説しましたが、適切なアルコールの量には個人差も大きく関係します。なかには適量であっても健康に影響が出てしまう人もいるので注意が必要です。

女性

個人差はありますが、女性は男性よりもアルコール分解速度が遅いことが知られています。そのため、男性と同じ量のアルコールを摂取したとしても、女性の方が健康を害しやすいと言えます。このことから、一般に女性は男性のおよそ半分くらいの飲酒量が適切ではないかと言われています。

高齢者

高齢者では若い方と比べて、アルコール分解能力が落ちていることが多く注意が必要です。また、過度なアルコール摂取により転倒したり事故を起こすリスクが高く、もともと持病を持っているかたも多いため、病気が悪化するリスクにも注意が必要です。

お酒に「弱い」人、少しの量で顔が赤くなる人

少量の飲酒(コップ1杯のビールなど)で、顔面が赤くなる方や頭痛や動悸、めまいがする反応をフラッシング反応といいます。フラッシング反応が起きる人をフラッシャーといい、アルコールを分解する過程で発生するアセトアルデヒド(有害物質)を分解する機能が遺伝的に弱い、いわゆる「お酒に弱い」人です。

このタイプの方は飲酒により、咽頭がんや食道がんの発生リスクが高くなりやすい事が知られており、飲酒は控えた方がよいかもしれません。

飲酒そのものを避けた方がよい人

アルコール性肝障害など、病気によっては飲酒を0にすることが望ましい場合があります。持病がある人は主治医と相談しましょう。また、過去にアルコール依存症と診断された方は1杯のお酒からふたたび依存症になってしまう場合があり、やはりお酒は飲まない方がよいです。

妊娠中の方は胎児への影響から飲酒は避けるべきであるとされていますし、未成年者や車の運転者など法律で禁止されている場合はもちろん少量でも飲酒は止めましょう。

最後に

今回、飲酒の悪い面ばかり触れてしまいましたが、もちろん悪い事ばかりではありませんし、私もお酒は好きでよく飲みます。仕事終わりの一杯を仲間と楽しむ事でコミュニケーションの機会になりますし、純粋にお酒の味を楽しむのもいいですよね。

個人的には、酔っ払うため・眠るため・習慣的になんとなく、といった飲み方は避けた方がよく、料理やお酒の味を楽しむため・仲間といっしょに楽しむため、にお酒を飲むようにすると、いいお酒との付き合い方になるのではないかと考えています。

草津栗東みらい内科クリニック 院長 梅谷 俊介
・日本内科学会 総合内科専門医
・日本呼吸器学会 呼吸器専門医